2007年05月08日

ゴールデンウィークの過ごし方(かる)

傍聴マニアと言う人達がいる
オウムの裁判で何百人が並んだとか、そんなニュースが流れていたが、そんなメジャーどころの裁判のみならず、日々裁判所に足繁く通いマイナーな裁判なんかも傍聴する人達の事だ。

そんな訳判らん裁判を見て何がオモロイねん、悪趣味な!
というのが一般的な価値観であろうが、そうであろうか?
裁判と言うのは被告人にとってその後の人生を左右する大ごとである。執行猶予がつくか実刑を喰らうか、あわよくば無罪を勝ち取る事も出来るか?
検察官はプロとしてそんな被告の思いをうち砕き奈落の底に突き落とそうとし、弁護士はプロとしてそんな検察官に立ち向かう。被害者がいる事件であれば、彼らの思いもまたそこに複雑に入り込む。
彼らにとって裁判はまさにノンフィクションであり、被告人にとっては人生をかけた戦争の場でもある。
面白くないはずが無い。

例えばサッカー選手にとって試合は人生をかけた戦争の場であろうが、最近の腑抜けたセレッソの試合観戦なんかより、ニュースにならないような小さな事件であっても裁判傍聴は面白いに違いない
それよりも何よりも大体、裁判なんて他人事と思っていること自体が危ない。
殺人や詐欺、窃盗、麻薬なんて事件の被告になる事は無くとも、それらの被害者になる可能性は無きにしも非ず、ましてや事故の加害者として被告になる可能性とは常に背中合わせである
裁判の一つも知ってなあかんやろう

そんな思いを抱き、裁判膨張してみたいなぁとかねてから考えていたが、裁判所と言うのはいわゆる役所であり、土日は営業していない。さすがに有給取って行こうとは至らず、なかなか傍聴に訪れる機会が無かったが、去るGWの中日に念願叶い大阪地裁に馳せ参じて参りました。

傍聴は別にハードルの高い物ではなく、空席さえあれば誰でも見ることが出来る、しかも無料、言ってみれば高校野球の甲子園の外野席のようなノリであると聞いていたのだが、なにぶん初傍聴である。流石に一人で行く勇気は無く、会社の同僚DS氏と誘い合わせ二人で朝10時前に到着。
正面玄関入ったところに本日行われる裁判の予定一覧が置いてあり、開廷時刻、法廷番号、被告人の名前と、窃盗、暴行、傷害、覚醒剤取締法違反・・・など罪名と、新件、審理、判決とその裁判の段階等が書いてある。
とは言え、そのリストには何十もの裁判の一覧が載っており、初心者からすると何がなんだか判らん。
とりあえず新件の中から時間的に合致する物を選び、403法廷に足を運ぶ。

無許可でセクキャバを営業(風営法違反)したというその裁判は、事件としてはさして面白い物ではなかったが、被告人は手錠に腰縄を付けられた姿で入廷してくるし(当たり前か)、やはり初めて見る裁判と言うのは凄くスリリングであった。
なんといっても法廷が狭い。傍聴席は3人掛けの椅子が横に2つ、前後に3列。それだけである。
その前にある柵の向こう側は左に検察席、右に被告席、弁護席、真ん中に証言席、そして向こう正面に裁判官席がある。全て含めて15畳程度であろうか。手を伸ばせば届きそうなすぐそこに裁判官、検察官、弁護士そして被告人がいる。
正面に座った裁判官は流石に50過ぎの落ち着きのある大人であったが、左にいる検事は30前くらいの若輩者であり、ぺーぺーのうちはこんな事件から担当するんやろうなぁと言う感じ。反対に弁護士はくたびれた酔っ払い風の赤ら顔のおっさんであった。
一見酔っ払い風であっても、流石に歴戦のベテラン弁護士である。若輩物の検事は不利か?と思いきや、一見酔っ払い風は喋り始めても酔っ払い風であった。

すんまへん、これ(証拠としての書類)提出するの忘れてましてん(弁護士)。そんなのもっと早く出してくださいよ(検事)。すんまへんすんまへん、それからコピー取るの忘れてきましてん(弁護士)。では原紙を頂いていいのですね(裁判官)。いやあとでコピーを・・・(弁護士)。証拠として採用するんですよね(裁判官)。いや、そうですねんけどね、だからコピーを・・・(弁護士)。今コピー取って来ましょうか(記録官)。あぁ、じゃあ頼んますわ(弁護士)。では一時閉廷(裁判官)
といった調子で、初心者からすると一瞬、これはもしかして弁護士側の作戦なのか?と勘ぐってしまったが、どう考えてもこれは裁判官の心象を悪くする効果しかない作戦であり、それは作戦とは言えない。

その後に行われた弁護士による証人への質問でも、何を質問しているのかが皆目判らない。
傍聴初心者にはやはり一字一句が難しいものなのか、と必死になって耳を傾けていたが、それは誰にとっても同じであったようで、質問に答える証人の回答もしどろもどろになり、弁護士が「質問した事だけに答えて」と注意したかと思いきや、裁判官から「それは先生(弁護士)の質問が不明朗だからじゃないですか?(苦笑)」などと窘められる始末。
咳一つするのも憚られるような張り詰めた雰囲気の法廷で、オレは笑いをこらえるのに必死であった。



続いて傍聴したのは覚醒剤取締法違反、道路交通法違反という二つの罪に対するものであった。
携帯を掛けながら車を運転しているところを警察に見つかり、追跡され逃走したはいいが、コンクリート塀に激突しお縄。無免許が発覚した上に、尿検査にて覚醒剤反応が出て、更にお縄、驚く事に前科14犯、そのうち薬関係が9犯とのこと。

裁判の初めに行われる本人確認の中で、職業は路上にての古物商のバイトですと充分怪しげな事を言いながら、裁判が進むにつれ実は建設業の取締役をやっている事になったり、証人として来るはずの奥さんが遅刻してきたり(こんな一大事な日に!)、一緒に来た娘も薬の前科があった事が発覚したり、その娘は近寄りがたいくらいのアホ臭を発散している上に年のころ30前後だと思われるが靴下は何故かピカチューだったり、傍聴人としては、被告本人のみならず一家丸ごと怪しい事この上ない印象を持った。

そう考えると弁護士ってのは辛い仕事である。
客観的に見て救いようが無い被告であっても何だかんだと理由をでっち上げ「・・・の理由でもってして再犯の可能性は皆無であると断言できるのであります」などと可笑しげな事を真面目な顔して言わねばならない。弁護人ではなく証人であれば、間違いなく偽証罪に問われるであろう。
検察官は確かに笑っていた。そりゃそうだ。オレも笑ったもん


こんな二つの名も無い裁判だけでもこれだけ楽しめたのだから、もっと数を重ねれば色々なドラマが見れそうである。
今回は被害者のいない事件だったが、被害者がいればまた違った展開も望めそうだ。大体、二件とも起訴事実を全面的に認め、いかに減刑を得るかに焦点の絞られた裁判であった為、迫力が無かった。もっと色々な裁判を見なければ
そう考えたのだが、一緒に行ったDS氏はもう傍聴は充分だという。
二件目のアホ一家を見て気分が滅入ってしまったそうだ。一家が悲しんでいる、泣いている姿を見て気分が滅入ったのではない。拙い文章力のため伝え切れていないが、あの一家が醸し出している「救いようのない感」に自分もついつい引き込まれ、駄目になってしまいそうな気分になったらしい。
うーん、それも確かに判らんでもないな。


と言うわけで、昼からは新世界に流れ、串カツ屋と寿司屋を梯子して昼酒喰らいながら人生を語ってみたゴールデンウィークのある一日でした。

posted by A-COUST at 01:53| 大阪 | Comment(5) | TrackBack(0) | カルロス日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なが〜〜いカキコ、ご苦労であった。
最初、携帯で読んでたら、途中で昼休みが終わってしまい
やむなく仕事に戻り、夕方もう一度読み直してたら用事でまた中断。
帰宅してパソコンでやっと読破できました(爆)

変わったGWの過ごし方をしたみたいね(笑)
さすがN社員2人衆!!
Posted by 1冊本を読み終わった気分@はにー♪ at 2007年05月08日 20:05
いやはや・・、
通やなぁ・・。(笑)

つか、大人のピカチュー靴下はかなり怖い。
友達にはなれへんなぁ。(*ノ・)ノギャー!!
Posted by miyan at 2007年05月08日 20:39
超一流企業?!のN社のもんです。ご無沙汰です。(ここでは)
さすが、おカルさんらしいGWの過ごし方!おもろいな〜。被告人は「こいつ誰やねん。見せ物とちゃうぞ」と思っていたに違いまい。
裁判の次は、市議会でも行って来なはれ!
それはそうと、そんなとこ行ってないで、バンドの練習せんかい!
Posted by 京一 at 2007年05月09日 02:46
京一さん
ごめんなさいあせあせ(飛び散る汗)
思わずあたしも謝ってしまいました
日々練習しかないですわ
喝入れていただいてありがとうございます

リーダー
このコメントいただいてから記事タイトルかえた?
1から過ごし方にかえましたな
Posted by ふぅ at 2007年05月09日 08:07
ふぅ
鋭いなあ。1って事は2があるの?ってことになるのでつい…

京一先輩
市議会は興味ありまへんわ。どっちかって言うと表社会よりも裏社会のが覗くぶんには楽しそうで

みやん
今度一緒に行く?作詞など創作活動の役にたつかと

ユッケ
読破ありがとう
たまにしか書かんので書き始めるとついつい長くなってしまうのですわ
Posted by かる at 2007年05月09日 08:30
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